相続が発生した時、予期せぬ被相続人の債務を相続してしまうことがあります。相続を単純承認するとプラスの財産もマイナスの財産も区別なくすべて引き継ぐことになりますので、相続人は債権者から債務の返済を求められることになります。
債務に対しての対処方法は色々な可能性がありますので慌てて返済せず、その可能性を考えてみると良いでしょう。
(1)債務の相続割合
借金を相続してしまった場合、法定相続分の割合に応じて返済の義務を負います。
例えば、亡くなった夫の100万円の借金を妻、長男、次男の3人で相続した場合、妻50万円、長男25万円、次男25万円の返済義務を負うことになります。
(2)消滅時効の援用
借金の返済期日から10年を経過している場合、消滅時効を援用することで、返済の必要がなくなる可能性があります。
(3)過払い金の発生
被相続人が借金を残したが、生前の長い返済期間で利息を払い過ぎている場合があります。相続人が払い過ぎた利息を取り戻すことで、借金の額が大きく減少したり、借金自体がなくなったり、現金が戻る可能性もあります。
(4)自己破産
相続した債務の返済に限界を感じたら、自己破産の手続きを考慮することも必要です。
(5)熟慮期間経過後の相続放棄
予期せぬ債務の存在を後から知った場合、熟慮期間3か月を経過した後でも相続放棄をできるか否か検討する必要があります。